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米酢、塩、砂糖を分量どおりに混ぜあわせます(菜箸を複数本使うと短時間で効率アップ)。しっかりと溶かすことで味ムラのない合わせ酢になります。
飯台はあらかじめ10分程度水を張っておくと、炊きたてのごはんでも粒がつきにくくなります。乾燥してる状態で移すとごはんの水分を吸い過ぎてしまいます。 -
お米の0.8倍の水でごはんを炊き、十分に蒸らしたら飯台へ。直接、飯台へ移さない時はさらしを敷いたボウルに入れてさらしごと飯台へ移します。
ボウルから飯台に移すとき、間にさらしをかけておくと隙間にごはんが落ちず周りを汚しません。 -
飯台に炊き立てのごはんを移したらすぐに合わせ酢をまわし入れます(熱々のごはんにかけないと酢が飛ばないのでできれば1分以内に)。しゃもじを使うと無駄なく全体に行き渡らすことができます。
この段階では想像以上に合わせ酢の量が多く飯台の中が合わせ酢の海のようになっています。でも慌てない、慌てない。 -
しゃもじを飯台に対してほぼ垂直に向けて、ダマをほぐすイメージで酢飯を切る。しゃもじは反った方を内向きにするとごはんが飛び散りません。
ヘラの場合は気にしなくて大丈夫。ダマはつぶすイメージだとごはんがべちゃつくので注意。 -
全体を切り終わったら酢飯をひっくり返し中央に集めて山にする。酢が上から落ちてムラがなくなる。そしてまた全体に広げる。
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ここでさらしの出番!しゃもじにごはん粒がついたままで切っていると酢飯に粘りが出てしまうので、水に浸したさらしでさっと払い落とします。
飯台のまわりについたごはん粒もそのままにしておくとカチカチになって食感が悪くなるので、さらしでさっと落としておく。 -
うちわであおぎ酢を飛ばし、一気に酢飯を冷まして艶を出す。手をかざした時にふわっと温かさが伝わる温度が適温。
うちわであおぐ作業は時間をかけなくてもOK。あおぐことでごはんが吸った酢をしっかりと中に閉じ込めます。 -
最後に飯台に接している酢飯を再度返すことで、酢を全体に行き渡らせ酢飯の熱を冷ます。出来上がったら濡らしたさらしを飯台を覆うようにかぶせておきます。
何回も返すとべたつきが生じるので注意!完成した酢飯を味見してみると意外に酸味がなく、気持ち甘めの印象でした。しかし、この塩梅がちらし寿司を作ったときの絶妙なバランスを生みだすんです。 - サバ缶(しょう油)
- 2缶
- 錦糸卵
- 2個分
- かんぴょう煮、干し椎茸煮
- 適宜
- かまぼこ
- 適宜
- 切り干し大根(甘酢漬け)
- 適宜
- 生姜の甘酢漬け(ビーツで色付け)
- 適宜
- 絹さや
- 5〜6本
- サバ缶(しょう油)
- 1缶
- 菜の花
- 1束
- 切り干し大根(甘酢漬け)
- 適宜
- 錦糸卵
- 2個分
- そら豆、干し椎茸、ひじき、ごぼう(甘辛煮)
- 適宜
- 絹さや、型抜きしたにんじん
- 適宜
- レモン、ゆず
- 適宜
- サバ缶(しょう油)
- 1缶
- いくら、エビ、サーモン、白身魚
- 適宜
- 切り干し大根(甘酢漬け)
- 適宜
- ガリ、大葉
- 適宜
- 錦糸卵
- 2個分
- かんぴょう
- 適宜
- 型抜きしたにんじん、絹さや
- 5〜6本
- レモン、ゆず
- 適宜
ひな祭りなどのハレの日に作るちらし寿司やこども達が集まる食事会に手軽に作れる手巻き寿司など、酢飯を使った料理って意外と日頃からよく作っているもの。特にちらし寿司は具をアレンジするだけで見た目も味わいも変わりいつ食べても新鮮に味わえるだけでなく、飯台を使って盛りつけると見栄えがしてごちそう感のあるおもてなし料理になります。
しかし、酢飯づくりにおいては「ごはんがべちゃっとなる」、「飯台を使いこなす自信がない」。そんな声をときどき耳にします。悩みは人それぞれだけど、基本の作り方をしっかりと覚えるだけでいつもの酢飯が絶品酢飯になるのです。
今回は東京は江戸川橋にある「酢飯屋」店主、岡田さんに基本の酢飯づくりを教わってきました。
今回の特集で使用するアイテムはこちら
酢飯づくりの基本の“き”
酢飯づくりがはじめての方もそうでない方も、まずは工程通りに作ってみましょう。ポイントとなるのは「合わせ酢のきほんの配合比、飯台、さらし」の3点です。合わせ酢の配合を覚えておくといつでも同じ味に仕上げることができるだけでなく、酢を効かせた方がおいしいお稲荷さんやご自宅の味に配合をアレンジする際も調整がしやすいですよ。
飯台を持っていない方はボウルの中で酢飯をつくっていると思います。しかし、これが「ごはんがべちゃっとなる」原因のひとつ。飯台でつくると木がちょうど良い塩梅に合わせ酢やごはんの水分量をコントロールしてくれるからべちゃっとしませんし、また浅く広い形はごはんが混ぜやすく、ボウルのように底に水分がたまることがないので合わせ酢を偏りなく混ぜることができます。飯台で作ると美味しく仕上がるだけでなく失敗がないんです。酢飯はパラッと感が何より大切ですから、飯台をぜひご用意ください。
最後のさらしはしゃもじや飯台についたごはん粒を払ったり、ちょっと手を拭いたり、細々とした作業をサポートしてくれます。
それでは、酢飯づくりの工程をご紹介します。
サバ缶を使った基本のちらし寿司
おいしい酢飯ができたら、次はちらし寿司の作り方。まずは京都・京丹後の郷土寿司「丹後ばらずし」ベースにしたちらし寿司を教えていただきました。味の決め手となるのはサバのおぼろです。サバ缶の汁気を切ってフライパンで5分くらい焦げないように炒っただけの簡単さながら、ほんのり甘い「サバのおぼろ」が全体の味をまとめてくれています(サバ缶はしょう油味やみそ味など味の付いているものがおすすめ)。椎茸やかんぴょうはしっかりと味をつけて煮るので、錦糸卵や野菜は敢えて味付けをせず素材から出る味わいを大切にしています。優しい味わいのちらし寿司はいくらでも食べられちゃいます。
材料 (ご飯4合分)
まるでバラの花のように見えるのは生姜をビーツで色づけしたもの。ピリッとした辛みが味のアクセントとして効いていました。岡田さんが「甘い、酸っぱい、塩辛いものが合わさると美味しいんです」と話してくれたように、味に変化のある具材がバランスよく散らしてあって食べ飽きない美味しさです。
酢飯だけ食べた時はパンチが少ないかな??と思いましたが、酢飯と具材の相性は言うまでもなく抜群でした。
このちらし寿司を盛りつけるのに選んだのはオーバル型の飯台です。岡田さんも素敵ですね~と何度も言っていたほど、少し地味目なばらちらしをモダンに見せてくれます。スリムな形はテーブルが有効に使えるし、蓋付きなのですぐ食べない時も乾燥せずおいしく食べられます。
サバ缶を使った野菜ちらし寿司
次は公長齋小菅の竹のお重に詰めたお花見バージョンのちらし寿司です。春のお寿司をイメージしてにんじんを蝶の抜き型で抜きました。この野菜ちらし寿司は具材に特別なものはひとつも使っていないので、冷蔵庫の中にある常備菜を活用しても良さそう。下ごしらえしておいた絹さややごぼう、菜の花など、予め材料を用意しておけばこどもと一緒に飾り付けが楽しめます。
材料 (お重一段、2合弱)
趣がある竹製のお重は内側にウレタン加工が施されているためごはん粒が付きにくく、岡田さんも「扱いやすいですね」と太鼓判を押してくれました。
急な来客があり手を掛けた料理を作る時間がない! そんな時もこのお重と具材があれば、パパッと簡単に見栄えのするおもてなし料理をふるまうことができますよ。盛り付けのポイントは彩りのバランス。お重全体のバランスを見ながら具材を散らしてみてください。
サバ缶を使った海鮮ちらし寿司
最後はこどももおとなも大好きな海鮮をつかったちらし寿司。ボイルしたえびやいくらも加わって見た目も華やかに仕上がりました。盛りつけたお重は野菜ちらし寿司と同じ公長齋小菅の竹のお重を使っています。
材料 (お重一段、2合弱)
今回教えて頂いたちらし寿司は全て同じ酢飯、同じサバのおぼろを使っていますが散らす具材によって全く味わいが異なり、改めてちらし寿司のバリエーションの豊富さを知りました。
実際に作ってみた率直な感想は酢飯さえ丁寧に作っておけば、あとは具を散すだけで簡単においしいちらし寿司が作れるということ。料理をする時間がないときこそ、ちらし寿司を作ってみたくなりました。
イチから教えて頂いたおいしい酢飯の作り方、いかがでしたか?
おいしい酢飯作りにひと役買ってくれる飯台があるとしっとり艶々の酢飯が失敗なく作れ、その後のちらし寿司の味も変わってきます。飯台は大きめのサイズが使いやすいと言われていますが、収納場所が確保できないという方もいらっしゃると思います。その場合は小さいサイズでも十分にご満足いただけると思いますのでぜひ暮らしの中に飯台を取り入れてみてください。
最後にもうひとつポイントを。それは合わせ酢を作るときは毎回酢の分量をきちんと量ること。大体の目分量で作ってしまうと予想外に酢が効いてしまったなどの失敗につながりますからご注意ください。
岡田大介(おかだ だいすけ)
酢飯屋店主
1979年生まれ。東京都文京区 江戸川橋駅近くにて、完全紹介制・完全予約制の寿司屋「酢飯屋(すめしや)」を経営。扱う魚から野菜、調味料、器などの生産者や現場に興味を持ち全国を巡り歩く日々。また、日本各地の郷土寿司を習い、継承させていただきにいくことをライフワークとし「季節のおうち寿司」を出版。